J-ROCK LIVE NETLIVE REPORT > THE MODS( ザ・モッズ )

1986.09.05   @大阪厚生年金会館・大ホール
THE MODS - "THE LAST WORD" TOUR '86

セットリスト
  1. 死ぬほどKISS
  2. Go-Stop Boogie
  3. CRAZY BEAT
  4. のら猫ロック
  5. DREAM ON
  6. U.K. Flight 583( Vo.チサキ )
  7. BABY BLUE
  8. Teenage Blue
  9. JOHNNY COME BACK( Vo.キーコ )
  10. バラッドをお前に
  11. Ready Steady Go
  12. She's The C
  13. 激しい雨が

    - アンコール 1 -
  14. Hey!  BAMBINO
  15. SAD NIGHT
    ( 森山ソロアルバム『JUST A PRETENDER』より )

    - アンコール 2 -
  16. TWO PUNKS
  17. ゴキゲンRADIO
  18. Come on Down/We are the MODS


CORNER / THE MODS

<収録曲>
1. BOY MEETS A GIRL
2. BREAKIN' MY HEART
3. TROUBLE JUNGLE
4. MOJO STOMP
5. WAYS OF THE CHILDREN
6. WILD SIDE TUMBLING
7. JET LAG BLUES
8. JOHNNY COME BACK
9. I'M SORRY
10. GARAGE WONDERLAND
  前日が前日だっただけに、朝から緊張しっぱなし。夕食もそこそこにまだ陽の落ちていない街へ向かう。昨日ぶつけた右足が痛む。
  会場の周りにそれらしき奴がたくさんいる。ボディーチェックを終えて客席へ。

  ざわめきをつんざくような激音が響き、いっそう興奮が高まる。そしてモッズ登場。「死ぬほどKISS」で幕開け。少し構えていたけど、いつものノリになってゴキゲンになる。
  プリンスのライヴと重なったこの日。森山は「みんなプリンスの方に行くと思ってました(笑)。」とジョークを飛ばす。

  キーコはニューアルバム『CORNER』から「JOHNEY COME BACK」を披露。
  「北里のあとに、気分を変えて…。」森山がそう言うと、会場から笑いが起こる。「すごいデキの悪い奴にもいい奴にも平等にこの歌を…。」とテレビドラマの主題歌にもなった「バラッドをお前に」では、会場が柔らかい空気に包まれる。
※バラッドをお前に… 1984年4月に「夜のヒットスタジオ」に出演した際、ロンドンからの生中継でこの曲を演った。その時のオーディエンスだったパンクスの一人に「ハードな曲は演らないのか?」と質問されて「この曲が俺たちの一番スローな曲だ。」と答えたエピソードのあるこの曲は、この時点では本当に一番スローで柔らかい感じの楽曲だ。

  「激しい雨が」は僕にとって一番思い出のある曲だ。はじめてモッズを知ったのがこの曲で、なんてかっこいい奴らなんだろうとショックを受けた。高校の文化祭で、テレキャスターを抱えて歌ったのもこの曲だった。

  本編、終了。誰もいなくなったステージ。会場にはモッズコールが響き渡る。

  アンコールに応えて、モッズ登場。一際大きくなった会場のざわめきを制すかのように森山は口を開く。
  「ロンドンとかニューヨークとか行って来ましたが、やっぱ関係ないちゅうかね。一番大事なのは俺たちが好きな音楽を作って、俺たちモッズの音楽を好きな連中が集まってくれて、そこで一つになれる夜が最高だと思います。要するに武道館ちゅう名前じゃなく、ここ大阪という名前でもなく、一番大事なのは俺たちとお前たち、それだけと思います。そういう思いでずっと演っていくんで、よければ心中してください。」

  2度目のアンコールに、モッズは4人だけ( ホーンセクション、キーボード抜き )で現れた。
  「憶えてますか?俺の大好きな曲です。」と「TWO PUNKS」が始まる。ギターソロの合間に森山はメンバー紹介をする。「今の時代のギターヒーロー、苣木寛之、 オンドラムス梶浦、ベース、キーコ、この街にも感謝します。ありがとう。」

  「こんなに前の空間がある割には、本当、みんないいエモーションちゅうか、そんな感じが伝わってきます。最高のオーディエンスだと思います。どうも本当ありがとう、感謝します。」

  ああ、それなのに、今夜も。

  オーラスの「Come on Down/We are the MODS」、最高の盛り上がりの中、ライヴが終わろうとしていた。それなのに。雰囲気を乱した奴が一人。
  もう曲もラスト、森山が「今日は本当にありがとう、気を付けて帰るように。」と言い終わるか終わらないかという瞬間。「( ♪ )We are the MODS」の大合唱の中、そいつは大胆にもステージに駆け上がり( ちなみにここも普通のコンサートホール )森山に近づいた。すぐにスタッフに取り押さえられる。森山が「乱暴に扱うな。」と気遣う。
  これで済めば問題はなかったのだが、この事態で他の客の緊張の糸が切れてしまった。後ろから走り集まってくる。その中の一人が花道に上がって踊り出した後は、我も我もと、みんながステージの上に上がって、蜜に群がる蜂のように森山を囲んだ。森山が見えなくなる。演奏が中断される。僕は自分の席で、森山の名を叫んだ。
  森山はもみくちゃにされながらも、「落ち着け、ほら。」と、興奮した奴らをなだめる。

  「後ろの奴、2階の奴、3階の奴、申し訳ない。これで俺たちがもう大阪で演れなくなるかもしれません。気持ちは分かります。」
  それまで冷静にバスドラを鳴らし続けていた梶浦がバスドラを止める。
  「一つだけ、一つだけ聞いてほしい。」
  「俺たちはいつもスタンディングで演れるコンサートをやりたいと思っています。でも日本ちゅう国は、そんなのは無理。それは分かってると思います。」
  「もし俺にお金とパワーがあれば、こんなのブチ壊してちゃんと作りたいと思います。ところが、俺に何ができる?ただ歌うだけの俺に?その辺を分かっておいてほしいです。OK?」

  日本のロックの現状、目の前の情景、そしてどうにもできない自分自身への苛立ちを、森山は感情を抑えた声で訴える。会場からわき起こる賛同のどよめき。森山の悲痛な叫びは本当にみんなに届いたのだろうか?

( 以前参加していたミニコミ誌掲載原稿を改稿 )
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